歯医者でのマウスピース矯正治療について

歯並びを整える治療方法として、従来の金属ワイヤーを使った矯正治療だけでなく、透明なマウスピースを使った矯正治療も広く利用されています。

この記事では、マウスピース矯正治療について詳しく解説し、そのメリットやデメリット、そしてマウスピース矯正の治療の流れをご説明します。

マウスピース矯正とは？

マウスピース矯正（アライナー矯正）は、透明なプラスチック製のマウスピースを使って歯を徐々に動かす矯正治療法です。

この矯正治療方法は、目立ちにくく、取り外しが可能であるため、特に大人の患者さまに人気があります。

マウスピース矯正のメリット

目立たない

マウスピースは透明であるため、装着していることがほとんど目立ちません。

特に仕事や社交の場で矯正治療の見た目を気にせずに過ごせる点が魅力です。

取り外し可能

食事や歯磨きの際に簡単に取り外すことができるため、衛生面でも優れています。

また、特定のイベントや写真撮影の際にも簡単に取り外しが可能です。

快適性

従来の金属ワイヤーやブラケットに比べて、お口の中の違和感を感じにくく、痛みも少ないとされています。

予測可能な治療結果

3Dシミュレーションを使ったマウスピース矯正の治療計画により、矯正治療開始前に最終的な歯の配置をチェックできるため、矯正治療の結果を予測しやすいです。

マウスピース矯正のデメリット

適応症例の限界

非常に複雑な歯列不正や顎関節の問題には対応できないケースがあります。

そのため、症例によっては他の矯正治療方法が推奨されることもあります。

自己管理が必要

マウスピースは１日20時間以上を目安に装着する必要があり、自己管理が必要です。

マウスピースの装着時間が不足すると、矯正治療期間が延びる可能性があります。

矯正治療費用

一般的な金属ワイヤー矯正の治療方法よりも、患者さまが負担する費用が高額になることが多く、自由診療のため保険適用外のことが多いです。

費用面での検討が必要です。

マウスピース矯正の治療の流れ

初診の診察とカウンセリング

豊富な知識と実績のある専門の歯科医師が、患者さま自身の歯並びの悩みや問題、治療の希望など、口腔内の状態をチェックし、マウスピース矯正治療の可否を判断します。

診断と矯正治療計画の提案

患者さまの歯型やレントゲン写真をもとに、3Dシミュレーションを行い、マウスピース矯正の治療計画を立てます。

マウスピース作成

マウスピース矯正の治療計画に基づいて、患者さま専用のマウスピースが一連のステージごとに作成されます。

各ステージのマウスピースは、少しずつ歯を理想の位置に動かすための力を加えます。

矯正治療開始

マウスピースを定期的に交換しながら、徐々に歯を動かします。

患者さまご自身で2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。

矯正治療後の保定

マウスピース矯正治療が完了したら、歯の位置を安定させるためのリテーナーを装着します。

マウスピース矯正治療の適応症例

マウスピース矯正治療が適用される症例は、比較的軽度から中度の歯列不正です。

具体的には、次のような症例が含まれます。

軽度の歯の重なりや隙間

軽度から中度の前歯の歯並び不正

軽度の噛み合わせの問題（オープンバイト、ディープバイトなど）

小児期の予防矯正

これらの症例は、マウスピースを使って徐々に歯を動かすことで改善が見込まれます。

ただし、重度の不正咬合や顎関節の問題があるケースは、従来の金属ワイヤー矯正や外科的な治療が必要なことがあります。

マウスピース矯正の使用方法と注意点

マウスピース矯正は、1日20時間〜22時間を目安にマウスピースの装着が推奨されています。

食事や飲み物の摂取時には取り外し、マウスピース装着時は水以外の飲食は避けるようにします。

また、歯磨きやフロスはマウスピースの着脱時に行い、口腔内の清潔を保つことが重要です。

患者さまはご自身でマウスピースを2週間ごとに新しいマウスピースに交換し、矯正治療計画通りに歯の移動を促進します。

マウスピースの交換を怠ると、矯正治療が進まず、矯正治療計画通りの結果が得られない可能性があります。

また、マウスピースの取り扱いに注意し、傷がつかないように保管することも大切です。

マウスピース矯正の治療期間

マウスピース矯正の治療期間は、個々の症例によりますが、一般的には12〜24ヶ月程度です。

軽度なケースでは6ヶ月ほどで矯正治療が完了することもありますが、完了までの後戻り矯正治療期間は患者さま自身の年齢、歯の状態、治療計画の複雑さなどに依存します。

マウスピース矯正の治療期間中は定期的に歯医者へ通院し、専門である担当の歯科医師のチェックを受け、進行状況や歯の健康状態を確認します。

マウスピース矯正の治療費用

患者さまが負担するマウスピース矯正の治療費用は、治療の範囲や治療期間、地域によって異なりますが、一般的には30万〜100万円程度が相場です。

一部の歯医者では、分割払いのプランを提供していることもあります。

また、矯正治療は自由診療で保険適用外となるケースが多いため、負担する治療費用については事前に専門の歯科医師へ確認することが重要です。

マウスピース矯正の種類

マウスピース矯正にはいくつかのブランドがあり、それぞれに特徴があります。

マウスピースは、透明で丈夫な医療用のプラスチックから作成されています。

この素材は、口腔内で安全であり、金属アレルギーの心配がありません。

また、薄くて柔軟性があるため、装着時の違和感が少なく、快適にマウスピースを使用できます。

以下に代表的なマウスピースをご説明します。

インビザライン 

世界中で最も広く使用されているマウスピース矯正のブランド。

3Dスキャンを使って精密なカスタムマウスピースを作成し、矯正治療計画を立てます。

クリアコレクト 

比較的新しいブランドで、インビザラインに似た治療プロセスを提供。

負担する治療費用がやや抑えられることが多いです。

スマイルダイレクトクラブ 

自宅での治療を主に提供するブランド。

歯医者に通うことなく、郵送でマウスピースを受け取る形式です。

マウスピース矯正の技術的進化

最近の技術革新により、マウスピース矯正はさらに技術的な進化をしています。

例えば、AI技術を活用したシミュレーションがマウスピース矯正の治療計画の精度を向上させ、患者さま自身に最適なマウスピース矯正の治療を提供しています。

また、3Dプリンティング技術の進化により、カスタムマウスピースの作成が迅速かつ正確になっています。

マウスピース矯正とライフスタイルの調和

マウスピース矯正は、その目立たない特性から多くのライフスタイルに適しています。

例えば、以下のような点で多忙な現代人に適していると言えます。

職場での使用

透明なため、職場での会話やプレゼンテーションの際にも気にせず使用可能です。

スポーツや運動

一部のスポーツでは、従来の金属ワイヤー矯正よりも安全で、取り外しが可能なため、マウスガードの使用も容易です。

音楽活動

管楽器を演奏する人にとっても、金属ワイヤーがないため、演奏中の口元の違和感が少ないです。

マウスピース矯正の効果を最大化するためのヒント

マウスピース矯正の効果を最大化するためには、以下のポイントを守ることが重要です。

マウスピースの装着時間を守る

毎日20時間〜22時間を目安にマウスピースの装着を厳守する。

食事後の歯磨き

食事の後には必ず歯磨きを行い、マウスピースを清潔に保つ。

マウスピースのケア

ぬるま湯と中性洗剤で定期的に洗浄し、傷や変形を防ぐ。

マウスピース矯正完了後のケアとメンテナンス

マウスピース矯正治療が完了した後も、歯の位置を安定させるためのケアが必要です。

リテーナーの使用

マウスピース矯正治療後の歯の移動を防ぐために、リテーナーを着用します。

最初の数ヶ月は特に重要です。

定期的なチェックアップ

定期的に歯医者へ通院し、専門である担当の歯科医師のチェックを受け、歯の健康状態を確認します。

日常的な歯のケア

マウスピース矯正治療後も歯磨きやフロスをしっかり行い、虫歯や歯周病を予防します。

マウスピースでの歯並び治療で笑顔へ

マウスピース矯正の治療は、目立たず快適に歯並びを整える治療方法として、多くの患者さまに選ばれています。

ただし、全ての症例に適しているわけではなく、自己管理も必要です。

マウスピース矯正の治療を考えている方は、豊富な知識と実績のある専門の歯科医師へ気軽に相談し、自分に最適な治療方法を見つけることが重要です。