歯周病とは
歯周病とは、不十分なブラッシングなどが原因で歯と歯茎の間(歯周ポケット)に歯垢(プラーク)や歯石が長期沈着し、中の細菌が歯肉やあごの骨に炎症を起こす病気です。高血圧や糖尿病と同じ生活習慣病に分類されます。
軽いうちは痛みがほとんどないため、気づかないうちに進行します。やがて、膿が溜る·歯がぐらつくといった症状が出て、重度になると菌が骨を溶かしてしまい、最悪の場合は歯が抜けてしまいます。日本人が歯を失う原因のトップになっている病気です。
また、歯周病を引き起こしている細菌がお口の中で増えると、血液や呼吸器内に入り込み、心筋梗塞·動脈硬化症·肺炎·早産などを引き起こしやすくなることが学会でも発表されています。
現在はこの点が非常に重視されており、口内環境を整備することが、全身の健康や長寿を大きく促進させることがわかっているのです。
次のような症状がある場合は、歯周病になっている·進行している可能性があるので、早期に受診しましょう。
歯周病かどうか、セルフチェック!
- 歯茎が腫れている
- 歯茎から血や膿が出る
- 歯がグラグラする
- 食べ物がうまく噛めない
- 口臭がきつくなった
- 朝起きたときなど、口の中がネバつく
歯周病と因果関係にある生活習慣
- 口呼吸
- 喫煙・タバコ
- 過度なストレス
- 飲酒
- 食生活
歯周病の原因
人の口内には約400~700種類の細菌が潜んでいることがわかっています。これらは「常住菌」と呼ばれ、存在しているだけでは悪影響を及ぼすことはありません。
しかし、しっかりしたブラッシングができていなかったり、糖分(砂糖)を過剰に摂取したりすると、ネバネバした物質をつくり出し、歯の表面に付着していきます。これが「歯垢(プラーク)」で、粘着性が強いため、歯ブラシでこすったりうがいをしたりという程度では落ちません。
歯垢1mgの中には約10億個の細菌が棲みついているといわれ、それらが虫歯や歯周病をひき起こしていきます。歯周病は、歯垢の中の細菌が歯肉に炎症を起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていくという状態です。
また、歯垢は放置されたままだと硬くなり、「歯石」と呼ばれる状態に変化し、さらに強固に歯の表面に付着します。もちろん、これもブラッシングで取り除くことはできません。この歯石に周囲の細菌も入り込み、毒素を出し続け、歯周病はどんどん進行していってしまうのです。
歯周病の治療
歯と歯茎(歯肉)の間には、約1mmの溝があり、歯肉溝と呼ばれていますが、炎症が起こると、この溝が深くなっていきます。歯肉が腫れ、放置しておくと歯に接着している歯肉の部分が徐々に剥がれ、それが根の方へ進んでいくのです。こうしてできあがってしまう歯と歯肉の間の深い溝が「歯周ポケット」です。健康な人の歯肉溝は約1mmなのに、歯周ポケットはそれ以上の深さで、4mm以上になると歯周病がかなり重症化しているといえます。
そのため、歯科では、「プローブ」という目盛りの着いた器具(針)で、歯周ポケットの深さを測ります。
これをもとに歯周病の進行の程度をチェックし、その他出血などの症状から炎症の程度なども確認して、治療プランを立てていきます。
歯周病の治療方法は、病気の進行段階によって異なります。 しかし、歯周病の多くは、原因であるバイオフィルムを除去することで、予防することができます。そのため、日頃のブラッシングや定期的な歯科検診が大切です。たまプラーザの歯医者「dentalclinicC たまプラーザ」では、予防治療にも力を入れています。
歯周病 軽度・中度の場合
歯垢や歯石を専用の器具で取り除く治療(スケーリング、ルートプレーニング)を行い、炎症の改善を図ります。
また、歯科衛生士が随時、ブラッシング指導や食生活指導を行います。
歯周ポケットが浅い(4mm未満)の段階の歯肉炎は、丁寧な清掃や食生活の改善で治るケースも多々あるのです。
それでも、毎日歯科医院に来ていただくのは不可能ですから、患者さんご自身がしっかり取り組めるよう、日々のセルフケアのお手伝いをさせていただきます。
たまプラーザの歯医者「dentalclinicC たまプラーザ」には、日本歯周病学会認定歯科衛生士が在籍しておりますので、安心して歯周病治療を受けていただけます。
歯周病 重度の場合
歯石を除去しても歯周ポケットの改善がない場合でも、時間をかけて治療、管理していくことでコントロールできることが多くあります。
一般的に、歯肉を開いて直接歯石を取り除く『フラップ手術』や、骨を再生させる『再生療法』などがありますが、残念ながらプラークコントロールができていない場所に手術をするとさらに歯周病を悪化させてしまう例が問題となっています。
世界標準の論文でも外科的な治療と非外科的な治療は治療効果に差がないとされています。歯周外科をしたけど、効果がない、悪化してしまったなど、闇雲な外科処置が歯周病を悪化させることは避けたい、と考えています。
歯周病で、それでも歯の喪失が避けられない場合は…
歯周病によって歯が抜けてしまう状態を避けられない場合は、インプラントや入れ歯などの選択肢があります。
たまプラーザの歯医者「dentalclinicC たまプラーザ」では、患者さんとしっかり話し合い、その方の10年先、20年先を見据えたより適した方法を検討してまいります。
「歯周病」Q & A
Q1. 歯周病治療時の痛みについて
歯周病治療は、特定の手順に沿って進められます。治療の一環として、歯周ポケットから歯石や炎症を引き起こす物質を除去する作業が含まれます。このプロセスでは、治療器具を歯周ポケット内に挿入するため、炎症の程度によっては若干の痛みを感じることがあります。しかし、通常は局所麻酔を使用するため、治療中の痛みは最小限に抑えられます。治療後には軽度の痛みや違和感が生じることがありますが、これは個人差があるため一概に言えません。また、必要に応じて痛みを和らげるための薬が処方されることもあります。
Q2. 歯周病は完治するのか?
歯周病に関する情報は多岐に渡ります。歯周病は複雑な疾患であり、「完治」の定義は捉え方によって異なります。歯周病は、かつての健康な状態に完全に戻ることはないものの、適切な治療により炎症の改善や病状の進行を止めることは可能です。患者さんや医師によって「治る」という解釈が異なるため、歯周病に関する情報が複雑に映ることがあります。しかし、適切な治療とケアを行うことで、歯の喪失を防ぐことが重要です。
Q3. 歯周病の再発について
歯周病は再発することがあります。治療によって改善されたとしても、日常のオーラルケアを怠ると、歯周病原細菌が活発化し、歯周ポケットが深くなり、病状が再発する可能性があります。歯周病治療後も、一層のオーラルケアが必要です。定期的な歯のメインテナンスを続けることが、健康な歯を維持するために不可欠です。
Q4. 喫煙と歯周病の関係
喫煙は歯周病のリスクを高める要因の一つです。喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病になりやすく、病状の進行が早く、治療の効果も低いことが知られています。ニコチンの影響で歯ぐきへの酸素や栄養の供給が不足し、唾液の減少によりプラークが蓄積しやすくなること、免疫系の機能低下などが原因です。これらの理由から、禁煙は歯周病の予防と治療の両面で推奨されます。
Q5. 歯周病予防のための対策
歯周病は細菌の感染によって引き起こされます。日々の適切な歯ブラシにより、歯垢(細菌の塊)の蓄積を防ぐことが最も重要です。患者さんごとに最適な歯ブラシの方法を学ぶために、定期的な歯科受診をお勧めします。また、全身の健康管理、特に食生活への注意、禁煙、適切なストレス管理などが、歯周病の予防に役立ちます。定期的な歯科検診とメインテナンスの習慣を持つことが、一生涯の歯の健康を維持する鍵となります。