【子供でも安全?本当に必要?】歯医者での子供の全身麻酔について知ろう
歯医者での歯科治療における子供の全身麻酔について
子供は虫歯ができやすく、特に乳歯の虫歯は進行が早いことが特徴です。
痛みがないからと放っておくと、患者様のお口の中で強い痛み・歯ぐきの腫れ・発熱などの症状が現れることがあります。
また、乳歯の虫歯は次に生えてくる永久歯や歯並びに影響することが知られています。
適切な時期に、適切な診療と治療を受けることが何よりも大切なのです。
虫歯の進行具合によっては、お子様の歯科治療において麻酔治療が必要となります。
小児歯科で歯科治療を受けるお子様は特に、見慣れない歯科医療器具や白衣やマスク姿の歯科医師やスタッフに恐怖心を抱き、歯科治療を強く拒否する場合も少なくありません。
安全に治療を行なえるように、小児歯科の診療では特定のケースで全身麻酔が必要とされることもあるでしょう。
しかし、小さな子供への麻酔は「本当に安全なの?」とお子様への影響を考え、心配になられる保護者の方も多いと思います。
「全身麻酔はこわい」「局所麻酔だけでできませんか?」と心配されるお声も小児歯科ではよく聞かれます。
確かに、歯医者(小児歯科)で全身麻酔を行うことはそう多くはありません。
しかしながら、治療しなければならない歯の本数が多かったり、奥歯を抜歯が複雑な場合や治療に長時間かかるケースもあることへの理解も必要となります。
そこで今回は、歯医者における子供の歯科全身麻酔に関する重要な情報を、詳しく説明していきます。
子供の歯科治療における歯科全身麻酔の必要性
小児歯科では基本的に麻酔なしでの治療を行います。
軽度の虫歯であれば神経を刺激する影響がないため、麻酔を使わなくても痛みを感じません。
しかし、神経近くまで進行した重度の虫歯は、麻酔なしでは治療できないほどの痛みを伴います。
多くの歯医者では小さなお子様の場合、進行止めのお薬を塗布し、虫歯の進行を抑え、麻酔が使える年齢になるまで様子を見ます。
最低でも多少の痛みに耐えられるようになる、6歳頃までは麻酔は使わない治療が理想です。
子供の歯科治療において歯科全身麻酔が必要となるケースは、基本的には以下のような状況や症状で考えられます。
複雑な歯の抜歯
奥歯や親知らずの抜歯は、特にお子様にとって難しい場合があります。
全身麻酔は、お子様の歯科手術をスムーズかつ安全に行うために必要なことがあります。
小児の歯科治療
子供は歯科治療に対して痛みや不安、恐怖を感じることがあります。
お子様の場合、じっと我慢できる時間は限られています。
まして歯科治療では、お口の中で先の尖った鋭い器具をしばしば使いますので、お子様が嫌がることも理解できます。
歯医者での治療による痛みや恐怖心によって頭やからだを大きく動かしたり、障害のあるお子様は自分では意識しなくてもからだが自然に動いてしまったりする(不随意運動)と、安全に治療ができなくなります。
動かずに治療ができなかったり、治療後に精神衛生上悪影響を与える恐れのある場合、全身麻酔を行った方が安全に治療することができるのです。
特に治療が長時間かかる患者様の場合は、全身麻酔が選択されることがあります。
重度の歯周病治療
歯周病の進行が激しい場合、歯周ポケットのクリーニングや手術が必要です。
これに伴う痛みや不快感を和らげるために全身麻酔が適用されることがあります。
歯科全身麻酔の安全性
多くのお子様は歯医者で初めての麻酔を経験します。
麻酔特有の感覚が苦手だったり、麻酔が体質に合わなかったりと様々な副作用や危険性が考えられ、心配を抱えるかもしれません。
特に歯医者での全身麻酔は、そういった副作用など、保護者の方にとってあらゆる心配がつきものであると思います。
歯医者でお子様に対する全身麻酔は、適切な医療設備と経験豊富な麻酔専門医や医療スタッフの診療や検査のもとで行われます。
歯医者での全身麻酔は、治療が行われている間の痛みを取り除くとともに、患者様の状態を厳重に見守り、治療が安全に行えるように全身の状態の管理にあらゆる努力を行います。
ですので、歯医者で全身麻酔をかける前には十分な診療や検査をして、お子様の状態を知る必要があるのです。
歯医者では全身麻酔を受けて影響がないかどうかを調べるために、術前検査を行うことを理解しておくことが大切です。
ただし、風邪などで喉や鼻の状態がおかしい場合やアレルギー状態、咳き込む心配がある場合などは治療や麻酔を延期した方が賢明と言えます。
また、患者様に貧血がありますと、からだの中に運ばれる酸素の量が少なくなり危険な状態になることもあります。
そういったからだへの影響を避けるためにも、予め血液検査や胸のレントゲン検査など基本的な検査が行われるのです。
ここからは、歯医者での全身麻酔による安全性を確保するための重要なポイントを、詳しく説明していきます。
麻酔医の専門知識
歯医者での全身麻酔は、麻酔専門医の指導のもとで実施されるべきです。
麻酔専門医は、全身麻酔の影響を最小限に抑えるための専門知識を持っています。
お子様が全身麻酔のもとに治療を受ける場合、麻酔専門医によってお子様が感じる痛みや不安、その他の苦痛を取り除かれるだけでなく、血圧、脈拍、呼吸、体温など、患者様の全身状態が正しく管理された状態におかれ、歯医者での歯科治療を安心して受けることができるのです。
適切な医療設備
全身麻酔を行うクリニックや病院は、緊急時の対応に備えた適切な医療設備を有している必要があります。
詳細な歯科診断と治療計画
お子様の病歴や身体状態、アレルギーなどの情報を詳細に診断・検査し、個別の治療計画を立てます。
全身麻酔後について
術後観察と帰宅
時間の短い全身麻酔では、患者様は治療台で10分程度休んだ後、待合室などで休憩し歩行感覚など症状を確認してから麻酔専門医が帰宅許可をします。
回復に時間がかかる場合または麻酔時間が2時間程度かかった患者様の場合は回復室などで保護者(付き添い)の方と一緒に過ごします。
患者様それぞれ個人差はありますが、基本的には30分内外で意識状態は回復してきます。
お子様の意識がはっきりしていて、座位をとっても気分が悪くなる心配がないようでしたら、麻酔専門医の指示のもと、水分摂取を始めます。
お子様が座位をとったままでも顔色に変化がなく、歩行ができる様子で歩行に問題がなく、お口の中、体調に問題がないようでしたら麻酔専門医が帰宅許可をします。
歯医者での治療後は、歯科医師や歯科衛生士から治療や処置に関する説明があります。
安静時には問題がなくても、歩行時のふらつきやめまい、嘔吐などの症状は長時間残ることもあります。
歩くと嘔吐もしやすいので、からだへの影響や負担を考えますと、当日の帰途の交通手段は自家用車あるいはタクシーの心づもりが安心でしょう。
食事の開始
帰宅後、お子様の疲労感が強ければ、まず休ませてください。
自然な眠りで昼寝ができた後くらいに食事を開始するのが適切ですが、回復には患者様それぞれ個人差があることを理解しておきましょう。
飲水後も嘔吐などの症状が無く、患者様ご本人の希望があれば消化のいい物から少しずつ食事を開始できます。
嘔吐があった後は、時間をおいて飲料水から再度経口摂取を始めるようにしましょう。
小児歯科で使われる麻酔の種類
麻酔は0歳から投与できると言われていますが、お子様がまだ小さいうちはからだへの負担や影響を考えると、基本的におすすめはできません。
麻酔が必要になる前に歯医者へ来院し、診療を受け、治療や処置を始めるのが最も良い方法なので、ぜひお子様の定期的な歯科検診を習慣化するようにしましょう。
しかし、子供は虫歯の進行が早くどうしても歯医者で麻酔を使う治療や処置が必要な場合もあり、麻酔への理解も必要です。
その際は痛みの少ない局所麻酔や、眠っている間に治療が完了する静脈内鎮静法、笑気吸入鎮静法を選ぶことも可能です。
小児歯科では局所麻酔の際、麻酔注射の前に表面麻酔を行い、注射器による痛みを軽減する処置を行っているクリニックもあります。
もし麻酔が必要な治療を検討していて心配を抱えている際は、こういった歯医者を選ぶと保護者の方は安心かもしれません。
局所麻酔による痛みが苦手な患者様や、治療中のお口の中の感覚や音が怖い患者様には、静脈内鎮静法もおすすめできる麻酔の方法として挙げられます。
笑気吸入鎮静法は、笑気麻酔とも呼ばれています。
ぼーっとする感覚はあるものの眠りはしないので、完全に痛みを消せるわけではないのがデメリットですが、鎮静作用のある笑気というガスを吸って、不安や恐怖心をなくしリラックスした状態にする麻酔の方法です。
症状や状況に合わせて全身麻酔を選択するなど、小児歯科の歯科医師の説明を受け、相談していきましょう。
麻酔の安全性と必要性を理解しよう
歯医者における子供の歯科全身麻酔についてご説明してきました。
保護者の方にとって、治療中の痛みがないことや安全性を理解したとしても、お子様が全身麻酔下に歯科治療を受けることに、不安や心配を抱えることは当然のことと思います。
子供の歯科治療における歯科全身麻酔は、費用はかかりますが、特定の状況で非常に重要なツールとなります。
その安全性を確保するためには、適切な医療設備と専門家の指導が欠かせません。
全身麻酔下での治療はどんなに短時間の治療でも、当日は食事や水分を制限され、呼吸などをコントロールする必要があり、体力消耗やからだへの負担がありますので、お子様の体調が良いときに行うのが一番です。
歯医者での子供の歯科治療において歯科全身麻酔が検討される場合、信頼できる歯科医師と麻酔専門医との協力によって、安全かつ安心な治療を受けることができるのです。