【知っておくべき!】歯医者での歯科治療における全身麻酔のリスクと安全性について
歯医者での全身麻酔のリスクについて
歯医者での虫歯や歯周病などの歯科治療において、歯科全身麻酔は時折必要とされることがあります。
しかし、全身麻酔にはリスクが伴うこともあります。
今回は、歯医者での歯科治療における歯科全身麻酔のリスクと安全性について詳しく説明します。
全身麻酔って怖くないの?
全身麻酔は新生児から100歳近くのご高齢の方でも安全に行われています。
欧米では歯科治療を受けることが難しい方(障害のある方や非協力児、嘔吐反射が強い方など)や、親知らずの抜歯に、積極的に歯科全身麻酔による対応が用いられています。
歯科全身麻酔下での歯科治療は、以前から大学病院などでは日常的に行われてきた方法です。
近年の薬の種類や医療技術の発展によって、耳鼻科や眼科、などの医科手術では日帰りで全身麻酔の対応を行うことが増えてきました。
歯科でも治療後にトラブルが起こりにくい治療では、日帰りで全身麻酔での歯科治療を行うことがあります。
全身麻酔での治療回数
お口の中の状態や歯の状態、虫歯の進行具合、ご希望される治療によって治療回数は異なります。
初診時にお口の中の状態を診させていただいてから、治療回数の目安を事前に説明いたします。
基本的には虫歯や歯周病などの歯科治療の回数と同じですが、1回の治療時間が2時間~3時間程度ですので治療回数が少なくなることがあります。
全身麻酔での親知らず抜歯
親知らずの抜歯は、できる限り1回の全身麻酔の対応で行います。
ただし、出血が止まりづらい方や大きく腫れが予想される場合は2回に分けて行う方法もあります。
大掛かりな外科処置や障害のある方への歯科治療
歯科でもケースによっては大掛かりな外科処置が必要になることもあります。
また、重度の障害を抱えている患者様は、治療への協力が得られないことがあります。
そういったケースでは全身麻酔が適応されることも珍しくありません。
全身麻酔は、麻酔薬の作用によって脳の一部の機能を抑制する麻酔の方法です。
患者様は意識を失うだけでなく、呼吸など重要な機能も停止するため、人工呼吸器が必要となる特別な処置方法と言えます。
それだけに、侵襲性の高い大掛かりな外科処置であっても、痛みや不安、恐怖心などを軽減する方法とされます。
麻酔効果の持続は数時間程度ですが、一般的には1日入院したのちに帰宅します。
簡単な手術であれば、入院せずその日に帰宅できることもあります。
全身麻酔自体の費用は、保険診療として適用されても数万円程度となります。
全身麻酔って安全なの?
医療において100%の安全というものはありませんが、全身麻酔での重篤な事故が起こる確率は、薬の種類や医療技術の進歩によって大きく低下し、現代の全身麻酔はとても安心で安全な管理方法です。
歯科麻酔専門医が患者様の全身状態を考慮し、細心の注意を払って麻酔することで安全に治療を進めることができるよう努めています。
日帰りで全身麻酔を行うことは、入院をする必要がなく、費用も安く抑えられ、体の負担や痛みへの恐怖心などのストレスが少なく、回復が早いと言われています。
基本的に入院をせず日帰りで全身麻酔を行う歯科医院も多くあります。
全身麻酔のリスク
アレルギー反応
麻酔薬に対するアレルギー反応が発生する可能性があります。
これは稀なケースですが、重大なリスクとなり得ます。
呼吸器の問題
全身麻酔中に呼吸が困難になることがあります。
これは特に高齢者や既往の呼吸器疾患を持つ患者様にとってリスクが高まる可能性があります。
循環器の問題
全身麻酔によって心拍数や血圧が変動することがあり、心臓や血管に負担をかける可能性があります。
意識喪失
全身麻酔によって一時的に意識が失われます。
これが長時間続く場合、脳に影響を及ぼす可能性があります。
安全性を確保するための措置
麻酔科医の指導
全身麻酔は麻酔専門医のもとで行われるべきです。
彼らは麻酔に関する専門知識を持っており、リスクを最小限に抑える役割を果たします。
詳細な診断
事前に患者様の健康状態やアレルギー、既往症などを詳細に診断することが重要です。
これによって適切な治療プランを立てることができます。
適切な設備
全身麻酔を行うクリニックや病院は、緊急時の対応に備えた適切な医療設備を有している必要があります。
患者様への事前説明
歯科医師は、全身麻酔のリスクと効果について患者様へ事前に説明し、同意を得ることが大切です。
患者様の理解と協力が治療の成功に不可欠なのです。
なぜ全身麻酔の前に検査や診察が必要なのか
安心かつ安全に治療を受けるために必要なこの全身麻酔の方法も、患者様の全身状態を知らずに麻酔をすることは大いに危険が伴うことは言うまでもありません。
そこで、全身麻酔を受けても大丈夫かどうかを調べるために、手術前検査を事前に行います。
風邪など喉や鼻の状態がおかしい場合やアレルギー状態、咳き込む可能性がある場合などは治療や麻酔を延期した方が賢明といえます。
また、貧血がありますと、からだの中に運ばれる酸素の量が少なくなり危険な状態になることもあります。
そういう危険を避けるためにも術前検査として、予め血液の検査や胸のレントゲン検査などが行われるのです。
全身麻酔による副作用とは
特に、お子様が全身麻酔下に歯科治療を受けることは、ご両親にとって非常にご心配であることは当然のことと理解できます。
ご心配のあまり、治療前にご家族の方からいろいろと質問を受けることもあります。
確かに麻酔による死亡が全く無いわけではありませんので、ご心配やご不安なお気持ちも無理のないことです。
全身麻酔中の全身管理は、歯科麻酔を専門とした日本歯科麻酔学会認定医が行います。
また、麻酔科医とも密に連携し、十分な体制を整えた上で治療を行っております。
麻酔を専門とする医師のいる病院で、麻酔が関係した事故は、交通事故による死亡事故の頻度(1万人に1人)よりもはるかに少ないと言われています。
麻酔の後、何ヶ月も経ってから麻酔の影響が出ることはありません。
しかし、だからと言って全身麻酔に危険性が絶対にない方法であるということは断言できません。
子供の体質やそのときの状態によっては麻酔が与える影響が大きく、非常に危険な状態に陥る可能性が無いとはいえません。
それゆえ、麻酔をかける前に十分な診療や検査を、時間をかけて行い、お子様の状態を知る必要があるのです。
このためには、保護者の方が日頃より知り尽くしているお子様の特徴をなるべくたくさん、どんな些細なことでも歯医者に教えてください。
ご家族の方々に麻酔や手術の事を話していただくことも大切なのです。
こうした細かい配慮と、あらゆる事態に対処できるスタッフの体制を整えることで、危険な状態を避けたり切り抜けることが可能となります。
歯医者では、患者様の安全を第一に日本麻酔科学会の安全基準に従った麻酔業務を行っています。
しかしながら、極めて稀ではありますが、以下のような合併症が起こる危険性があることをご理解ください。
全身麻酔に伴う副作用
体温の上昇に伴う全身の臓器(悪性高熱症)
心・肺・肝・腎などの機能低下
脳・脊髄・神経系の障害、痙攣、意識レベルの低下
血流障害による多臓器不全
アナフィラキシーショック
麻酔が浅くなり治療中の記憶が残存
注射部位の細菌感染、膿瘍形成
麻酔治療を受けるにあたって避けるべき行為
麻酔治療を受けるにあたり、激しい運動や飲酒、喫煙などは避けるようにしましょう。
これらは血圧などを大きく変動させるリスクがありますし、歯科治療そのものにも良い影響は与えません。
治療の前後はしっかりと睡眠時間をとり、体調を整えることが大切であることを理解いただけたらと思います。
全身麻酔と静脈内鎮静法は違う?
静脈内鎮静法は、点滴からお薬を投与し、痛みや不安や緊張を和らげリラックスした状態を作り出します。
患者様は、ぼーっとウトウトしながら、治療を受けているという感覚です。
一方、全身麻酔は完全に感覚や意識のない状態で治療を受けることができますので、処置に伴う痛みの軽減や、不安・恐怖心などの苦痛を全て取り除くことができます。
安心して治療を受けるために
全身麻酔は歯科治療において必要な場合がありますが、そのリスクを理解し、安全性を確保するためには専門家の指導と適切な医療設備が不可欠です。
患者様は歯科医師と協力し、治療計画に関する質問や不安を遠慮せず気軽に相談しましょう。
安全で効果的な歯科治療を受けるために、情報とコミュニケーションが鍵となります。