【妊娠中の健康と安全とは?】歯医者での歯科診療とレントゲン撮影
妊娠中の歯医者でのレントゲン撮影について
妊娠中の歯医者での歯科診療と歯科治療は、お母さんとお腹の赤ちゃんの健康にとって非常に重要です。
歯やお口にトラブルが起きていても、妊娠中は歯医者で歯科診療や歯科治療を受診するのは良くない、お腹の赤ちゃんに影響があるのではないかとリスクを考え、心配して必要な歯科治療を我慢してしまい、それが原因で歯科医院への来院時期を逃してしまう妊婦さんは多くいます。
しかし、急な痛みなど、妊娠中の時期にも虫歯や歯周病などの歯科治療を必要とする事態になる妊婦さんも少なくありません。
また、多くの妊婦さんが疑問や不安を抱くのが、妊娠中にレントゲン撮影を受けても、お腹の赤ちゃんへの影響なく安全性は大丈夫なのかということです。
今回は、妊娠中の歯科診療と歯科治療、レントゲン撮影について詳しく解説します。
レントゲン撮影と妊娠
妊婦さんが歯科診療や歯科治療を受診する際に最も気になるリスクが、レントゲン撮影の安全性です。
歯科診療や歯科治療でレントゲンが必要とされるのは、患者様のお口の中の正確な診療・治療ができない場合があるからです。
レントゲン写真を用いることで、歯科医師の見た目では分からない虫歯の発見や歯周病の進行状態や、親知らずの状態などの口腔環境を調べることができます。
ですが、レントゲンと聞くと、胎児への影響が大丈夫なのかとリスクを考え、心配になる妊婦さんも多いと思います。
レントゲン撮影はX線を使用するため、放射線量のリスクがあるとされており、心配される妊婦さんも多いでしょう。
しかし、歯科医院で用いるレントゲンは口腔付近を撮影するため、胎児にX線が当たる心配はありません。
妊娠中の時期においても、レントゲン撮影を安心・安全な条件で行うことができるのです。
妊娠中のレントゲン撮影の安全性
妊娠の時期によってリスクとされる放射線量は異なりますが、概ね100mSv(ミリシーベルト)以上の放射線量を浴びなければ、妊婦さんでも影響が出ることはほぼないでしょう。
歯科診療や歯科治療のレントゲンは、1回約0.001mSv (ミリシーベルト)~0.008mSv (ミリシーベルト)の放射線量なので、お腹の赤ちゃんへの影響を心配されている妊婦さんにも安心していただけると思います。
先進的なデジタルレントゲン機器は、従来のレントゲンの1/4~1/10程度のX線量で撮影することができます。
また、妊娠中のレントゲン撮影は、以下のポイントに注意すればリスクを回避することができ、安心・安全に行えます。
防護用エプロンとシールド
歯科医院でレントゲン撮影をする際に、レントゲン室内でエプロンのようなものを付けたご経験があると思います。
歯科診療や歯科治療の際のレントゲン撮影では、通常、鉛のエプロンやシールドを使用して患者様のお腹や胸部を保護します。
これらの使用により胎児への影響が大丈夫か心配されることを、最小限に抑えることができますので安心です。
最小限の撮影
歯科医院の歯科医師や歯科衛生士は、妊婦さんのレントゲン撮影は必要最小限に抑えるように心掛けます。
また、妊婦さんの場合、緊急時を除いて妊娠中の時期はレントゲンを避ける方針が推奨されている場合もあります。
コミュニケーションと協力
患者様が妊娠中であることを歯科医師や歯科衛生士に伝えることは、適切な歯科診療と歯科治療のプランを立てる上で必要であり大切です。
また、妊婦さんご自身の不安解消へと繋がります。
歯科医師や歯科衛生士とのオープンなコミュニケーションが妊娠中の安心と安全を確保する一助となります。
治療を受ける上で心配なことがあれば、かかりつけの歯科医師や歯科衛生士へ安心して相談しましょう。
妊娠中の歯科診療の重要性
妊娠中に歯科診療や歯科治療を受診することは、健康なお口と歯を維持するため、安心して妊婦生活を過ごすために必要です。
妊娠に伴うホルモンの変化や妊娠糖尿病など、口腔健康に影響するリスクが高まることもあります。
以下で詳しく解説していきます。
妊娠中に起こりやすいお口のトラブル
妊婦さんの歯周病や虫歯などの問題は、それが原因となり妊婦さん自身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
歯周病
歯周病菌の中には女性ホルモンを栄養源として増殖する菌があります。
そのため、女性ホルモンが増加する妊娠中は口腔内の歯周病菌が活発になり、歯周病(妊娠性歯周病)にかかるリスクが高まります。
歯周病くらい大丈夫だろうと考える患者様もいますが、妊婦さんが歯周病になると、歯周病が原因で取り返しのつかないことになるリスクがあります。
妊婦さんの口腔内にいる歯周病菌は、血流に乗って胎盤や子宮へと運ばれていきます。
そうなると、子宮収縮を促す成分が急増したり胎児の成長に影響を及ぼしたりする結果、早産・低体重児出産を引き起こす原因となるリスクが高まるのです。
歯周病にかかっている妊婦さんは、歯周病にかかっていない妊婦さんに比べて、早産・低体重児出産のリスクが約7倍になるというデータもあります。
元気な赤ちゃんを出産するため、妊婦さんは歯周病を予防しなければいけません。
歯周病予防の基本は毎日の歯磨きです。
妊娠中はつわりなどで歯磨きがつらい時期もありますが、妊婦さんはできるだけ口腔内を清潔に保ちましょう。
虫歯
20~30代の日本人女性がお口の中のトラブルとなる虫歯にかかる率は非常に高いです。
妊婦さんはつわりの影響などでますますお口の環境が悪くなり、リスクはさらに上昇します。
虫歯は、細菌が出す酸によって歯が溶かされる病気なので、妊娠中は極力、酸を中和させるように口腔内環境を整えていく必要があります。
智歯周囲炎
親知らず(智歯)は、半分だけ生えたり斜めに生えたりすることが多く、お口の中のトラブルとなる虫歯や歯周病のリスクが高い歯です。
特に、妊娠中は腫れや痛みが出やすいので注意が必要です。
虫歯や歯周病を予防するためにも、状況によっては、つわりの時期を過ぎた安定期に、親知らずを抜歯したほうがいいケースもあります。
受診に適切な時期
妊娠中期である妊娠5~8ヵ月頃が歯科治療にはおすすめの時期です。
この時期は安定期なので、つわりの症状も落ち着いてくる方が多いことと思います。
歯科治療を受診することに大きな問題はありません。
特別な症例を除き、虫歯など通常の歯科治療なら受診することができます。
気になる症状や不安があれば、この時期に治療を済ませておきましょう。
赤ちゃん出産予定日の1ヵ月前までの時期は、治療・ケアが可能ですが、妊婦さんの症状・状況によっては治療を制限する場合があります。
まとめ
妊娠中の歯科診療や歯科治療、レントゲン撮影は、適切なケアを受けるために重要ですが、お母さんとお腹の赤ちゃんへの影響がなく、安全性を確保するためには注意が必要です。
歯科医師や歯科衛生士との協力とコミュニケーションが、お母さんとお腹の赤ちゃんの健康を守るために必要不可欠です。
また、歯周病や虫歯などの問題は、妊婦さん自身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
元気な赤ちゃんを出産するために、妊娠中も口腔環境を整えて予防をし、お口の中の健康を維持しましょう。
大がかりな治療は、お母さんの身体にもお腹の赤ちゃんの身体にも負担がかかりますから、できるだけ早期発見、早期治療できるようにすることが大切です。